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Broadcom Private Cloud Outlook 2026を読む:AI推論をPrivate Cloud/VCFで動かす前の確認ポイント

Broadcom Private Cloud Outlook 2026を読む:AI推論をPrivate Cloud/VCFで動かす前の確認ポイントの判断ポイントを表す抽象サムネイル

追記: 2026年6月13日の最新情報

2026年6月11日に、VMware Cloud Foundation BlogでPrivate AI ServicesのSupervisor構成が追加説明されました。AI推論をprivate cloudで動かすかどうかは、調査数字だけで判断せず、SupervisorをNSX構成にするのか、VDS構成にするのかまで見ておく必要があります。ここで、VCF Automationのセルフサービス、マルチテナンシー、ネットワーク分離の扱いが変わります。

  • NSX構成では、NSX VPCを前提にVCF Automationのマルチテナント運用、ガバナンス、セルフサービスを使いやすくなります。一方で、NSX Edgeなどの設計負荷も確認対象です。
  • VDSとFoundation Load Balancerの構成は導入の足回りを軽くできますが、ネットワーク払い出しやモデルエンドポイント展開が手作業寄りになり、VCF Automationの利用範囲が変わります。
  • TechDocsのPrivate AI Services Release Notesでは、VCF 9.1向けのPrivate AI Services 2.1、VCF Automation組織での有効化、アップグレード時の停止注意点も確認できます。

このため、本文の56%という調査値は「private cloudに置くべきか」の入口として読み、実際の設計ではNSX/VPC、Supervisor、GPU容量、名前空間、VCF Automationの運用責任を先に整理するのが現実的です。

一次情報: Deploying VMware Cloud Foundation Private AI ServicesVMware Private AI Services Release Notes

このテーマをもう少し広げて見るなら、VCF 9.1 Private AI Servicesを導入前に確認する:NSX/VDS、Supervisor、VCF Automationの実務ポイントVCF 9.1でIaCを始める前に確認する:SDDC Manager API、Terraform、組織/プロジェクトの実務ポイント も合わせて確認してください。Private Cloud Outlookの調査数字を、Private AI ServicesのSupervisor設計とVCF Automationの確認へつなげられるため。

Broadcomが2026年6月9日に公開した「Private Cloud Outlook 2026」は、AI推論をどこで本番運用するかを考える材料として読めます。見出しだけを追うと「private cloudへ大きく戻る」という話に見えますが、導入企業にとって大事なのは、public cloudをやめるかどうかではありません。自社のAI推論を、データ保護、セキュリティ、コスト、運用、レイテンシ、既存VCF資産のどの条件で評価するかです。

この記事は2026年6月10日 JST時点で確認できたBroadcom公式発表、公式レポートPDF、VMware Cloud Foundation 9.1関連の公式情報をもとにしています。BroadcomおよびVMware by Broadcomとは関係のない非提携の確認メモであり、投資助言でも、特定製品の導入推奨でもありません。

3行まとめ

VisualAI推論をprivate cloudで考える前提調査数字を入口にしつつ、自社の配置判断へ落とすための要点です。
数字は入口

production AI inferencingでprivate cloudを実行中または計画中の回答は56%、同じワークロードでpublic cloudを使う回答は41%とされています。

移行は条件付き

データ所在、セキュリティ制御、稼働率、SLO、運用担当、既存VCF基盤の成熟度を見てから判断します。

PoCで証跡を作る

推論APIが動くかだけでなく、費用、容量、ネットワーク、監査ログを同じ検証に入れます。

private cloudは結論ではなく、配置判断を具体化するための比較候補として扱います。

BroadcomのPrivate Cloud Outlook 2026では、production AI inferencingをprivate cloudで実行中または計画中の回答が56%とされ、同じワークロードでpublic cloudを使う回答は2025年の56%から2026年の41%へ下がったと説明されています。

ただし、この数字は「すべてのAI推論をprivate cloudへ移すべき」という結論ではありません。データ所在、セキュリティ制御、稼働率、SLO、運用担当、既存VCF基盤の成熟度を見ないまま移すと、コストや責任範囲が逆に読みにくくなります。

VCFで受ける場合は、VCF 9.1のproduction AI文脈だけでなく、VMかVKSか、VCF OperationsやFinOpsで費用と容量を見える化できるか、ネットワークと監査ログをPoCに入れられるかを先に確認します。

Private Cloud Outlook 2026で確認できること

Visual調査で示された主な数字Broadcomの公式発表と公式PDFで、AI推論とprivate cloudを読むときの確認材料になる数字です。
private cloudでAI推論
56

production AI inferencingをprivate cloudで実行中または計画中の回答。

public cloudで同ワークロード
41

同じワークロードでpublic cloudを使う回答。2025年の56%から下がったと説明されています。

data protection/privacy
37

AIによって企業ITに求められる新しい要求として最も高い項目。

security/control
36

データ保護に続く要求として示された項目。

public cloud cost concern
31

public cloudコストへの懸念として示された数字。

各数字は調査方法と文脈を合わせて読み、すべてのAI推論をprivate cloudへ移す根拠としては扱いません。

今回の需要シグナルは、Broadcomが公式IRリリースとしてPrivate Cloud Outlook 2026を出し、同じ流れでproduction AIとprivate cloudを前面に出していることです。theCUBEでも2026年6月9日に「Modern Private Cloud: A Secure Foundation for Production AI」として関連イベントが置かれており、BroadcomがVCF 9.1とAI推論の配置判断を強く結びつけていることがわかります。

一方で、記事の根拠はイベントやSNS反応ではなく、Broadcom公式発表と公式PDFに置きます。イベントは読者需要を示す補助線であり、数値の一次根拠ではありません。

56%のprivate cloud推論をどう読むか

根拠

Broadcom公式発表では、56%の企業がproduction AI inferencingをprivate cloudで実行中または計画中とされています。ここでの主語はAI trainingではなく、業務アプリ、検索、分類、RAG、生成AIアプリなどで本番時に走る推論処理です。

注意点

この数字から読めるのは、AI推論が「試すだけ」の段階から、データ保護、応答時間、監査、費用予測を含む本番配置の議論へ移っていることです。自社でも同じ方向に進むべきかは、別問題です。社内データに近い場所で推論する意味があるのか、需要が読めるのか、運用チームが持てるのかを見ないと、private cloud化は単なる置き場所変更で終わります。

public cloud利用低下は否定材料ではない

根拠

同じワークロードでpublic cloudを使う回答は、2025年の56%から2026年の41%へ下がったと説明されています。public cloud cost concernも2025年の26%から2026年の31%へ上がっています。

注意点

ここで避けたいのは、public cloud不要論に飛ぶことです。開発初期の検証、急な需要増、マネージドAI API、グローバル展開、短期キャンペーン、GPU容量の一時利用では、public cloudが合理的な場面は残ります。問題はpublic cloudかprivate cloudかの二択ではなく、どの推論をどの条件でどちらに置くかです。

数字は調査方法と一緒に読む

確認項目

公式レポートの方法論では、Radius TechがBroadcomとともに調査を行い、2026年2月11日から3月13日にかけて、世界のsenior IT decision-maker 1,800人を対象にしたWeb調査とされています。

評価基準

これは読者にとって重要です。数字は市場の方向感を見る材料ですが、すべての企業の実測ログでも、日本企業だけの回答でも、現場エンジニアの運用実績でもありません。記事内では、56%、41%、37%、36%、31%をそのまま「自社に当てはまる証拠」として使わず、PoCで検証する仮説として扱います。

Broadcom/VCFの流れに接続して読む理由

Visual調査レポートとVCF 9.1の接続Private Cloud Outlook 2026を単独の調査ではなく、VCF 9.1の発表文脈と並べて読みます。
  1. VCF 9.1発表

    BroadcomはVCF 9.1をproduction AI workloads向けのsecure and cost-effective infrastructure platformとして位置づけています。

  2. Private Cloud Outlook 2026

    production AIとprivate cloudを前面に出し、AI推論の配置判断に関係する数字を示しています。

  3. 読者側の読み替え

    調査語としてのprivate cloudと、製品としてのVMware Cloud Foundationを分けて確認します。

  4. 実務判断

    自社のprivate cloud候補にVCFを入れるなら、どの条件を見るかへ落とします。

VCFは候補の一つであり、調査レポートのprivate cloud全体と同義ではありません。

Private Cloud Outlook 2026は、単独の調査レポートとして読むより、VCF 9.1の発表と並べたほうが実務判断につながります。Broadcomは2026年5月5日にVCF 9.1を発表し、production AI workloads向けのsecure and cost-effective infrastructure platformとして位置づけています。

ただし、調査語としてのprivate cloudと、製品としてのVMware Cloud Foundationは同義ではありません。この記事では、BroadcomがVCF 9.1の文脈でこの調査をどう使っているかを読み、読者側では「自社のprivate cloud候補にVCFを入れるなら何を見るか」に落とします。

VCF 9.1発表で確認できること

根拠

BroadcomのVCF 9.1発表では、AIとKubernetes nativeなprivate cloud platform、統合セキュリティ、AMD、Intel、NVIDIAを含むmixed compute infrastructure supportが説明されています。VCF 9.1 production AI blogでも、AI inference、GPU pipelines、大規模なin-memory databaseのような高密度ワークロードを前提に、NVMe Memory Tiering、vSAN Dedup and Compression、Topology Aware Scheduling、VKS scale、Real-Time Operational Observabilityなどが取り上げられています。

読み方

ここから読めるのは、BroadcomがAI推論を「モデルだけ」の話として見ていないことです。メモリ、ストレージ、アクセラレータ配置、Kubernetes、観測性、容量、アップグレード、セキュリティをまとめて見ています。

レポートはVCFの販売資料だけとして読まない

注意点

一方で、Private Cloud Outlook 2026をVCF導入の結論として扱うのは早すぎます。レポートのprivate cloudは一般概念であり、VCFだけを指しているわけではありません。既存のオンプレ仮想化、別のprivate cloud基盤、managed private cloud、hybrid構成も読者の候補になります。

評価基準

だからこそ、本文の焦点は「VCFを選ぶべきか」ではなく、「VCFを候補に入れるなら、production AI inferencingを載せる前に何を確認するか」です。VCF 9.1の全体導入条件を見たい場合は、公開済みの<a href="https://avgo-watch.blog.mo-gmo.com/avgo-13-vcf-91-upgrade-api-ip-check/">VCF 9.1導入前チェック</a>も合わせて確認すると、アップグレード計画、API-first、管理サービスIPの論点へ接続できます。

AI推論をPrivate Cloudへ寄せる前の5条件

VisualPoC前に分ける5つの条件GPUやモデル名の前に、配置判断でつまずきやすい条件を整理します。
データ保護とデータ所在

プロンプト、RAGの検索対象、ベクトルDB、サポートログ、バックアップの保存場所を確認します。

セキュリティと制御

private cloudに置くこと自体を対策にせず、パッチ、監視、ログ、証明書、バックアップの責任範囲を決めます。

レイテンシとデータ近接性

社内データに近い場所で推論する意味があるか、応答時間とデータ経路で確認します。

コスト予測と稼働率

固定費、ハードウェア、GPUまたはCPU、ストレージ、ネットワーク、運用人件費を含めて比較します。

運用体制とSLO

VM、VKS、ネットワーク、VCF Operations、セキュリティ運用の担当境界と切り戻し手順を確認します。

public cloud、private cloud、hybridの比較は、同じ条件をそろえてから始めます。

AI推論をprivate cloudへ寄せる判断では、最初にGPUやモデル名へ行きがちです。けれども、本番運用でつまずきやすいのは、データの持ち方、監査、運用責任、費用の見え方、ネットワーク経路です。ここをPoC前に分けておくと、public cloud、private cloud、hybridの比較が現実的になります。

条件1 データ保護とデータ所在

根拠

Broadcom公式発表では、AIによって企業ITに求められる新しい要求として、data protection and privacyが37%で最も高く、security and controlが36%で続くとされています。この2つは似ていますが、確認作業は分けたほうが安全です。

確認項目

データ保護では、推論に入るデータ、推論結果、プロンプト、RAGの検索対象、ベクトルDB、監査ログ、バックアップの保存場所を確認します。個人情報、顧客データ、設計情報、契約書、サポートログ、音声や画像などが含まれるなら、どの範囲を社内基盤に閉じる必要があるかを先に決めます。

注意点

注意したいのは、推論基盤をprivate cloudに置いても、外部LLM APIへプロンプトや検索結果を送る設計なら、データ所在の問題は残ることです。private cloud化はデータ保護の手段になり得ますが、それだけでデータ保護が終わるわけではありません。

条件2 セキュリティと制御

確認項目

security and controlを見るときは、認証、RBAC、ネットワーク分離、east-west通信、監査ログ、脆弱性対応、イメージ管理、Secrets管理を並べて確認します。推論APIを誰が呼べるのか、モデルを誰が更新できるのか、RAGの検索対象を誰が変えられるのか、Kubernetes namespaceやVM管理者の権限境界はどこかを図にする必要があります。

注意点

private cloudに置くこと自体はセキュリティ対策ではありません。むしろ、自社で責任を持つ範囲が増えます。public cloudのマネージドサービスで吸収していたパッチ、監視、ログ、容量、証明書、バックアップを、private cloud側でどう運用するかを決めてから比較します。

条件3 レイテンシとデータ近接性

条件

業務システム、データベース、ファイルサーバー、監査ログ基盤がオンプレやVCF側にあり、推論が頻繁に近接データを読むなら、private cloudは評価しやすくなります。データを外へ往復させずに済む、既存の認証やネットワーク制御に載せやすい、p95やp99の応答時間を読みやすい、といった利点が出る可能性があります。

評価基準

逆に、利用者が世界中に分散している、マネージドAI APIの新機能をすぐ使いたい、リージョン展開やCDN連携が重要、短期間だけ大きな需要がある場合は、public cloudを残す合理性があります。平均応答時間だけでなく、p95/p99、タイムアウト率、再試行回数、データ転送量、RAGの検索時間、ログ保存まで測るのがPoCの合格条件です。

条件4 コスト予測と稼働率

根拠

public cloud cost concernが31%へ上がったという数字は、private cloud検討の入口になります。ただし、「public cloudは高い、private cloudは安い」と単純化すると危険です。private cloudでは固定費、ハードウェア、GPUまたはCPU、ストレージ、ネットワーク、運用人件費、監視、バックアップ、保守が効きます。

確認項目

比較するときは、推論リクエストのピークと平常、モデル数、環境数、GPUまたはCPUの稼働率、夜間停止の可否、データ転送料、監査ログ保管、バックアップ、障害時の余剰容量を同じ期間で見ます。VCF側でAI推論を受けるなら、VCF OperationsやFinOpsをPoCから外さないほうがよいです。コスト可視化の観点は、<a href="https://avgo-watch.blog.mo-gmo.com/avgo-30-vcf-91-focus-finops-cost-visibility-check/">VCF 9.1のFOCUS/FinOps確認記事</a>で扱ったCost Overview、Showback、AI/GPUコスト可視化ともつながります。

条件5 運用体制とSLO

条件

本番AI推論では、モデルが動くことよりも、止まったときに戻せること、更新できること、監査できることが重くなります。24時間運用、障害対応、モデル更新、GPUドライバ、Kubernetes/VM運用、バックアップ、ログ保管、脆弱性対応を誰が持つかを先に決めます。

評価基準

VCF上で動かすなら、VM、VKS、ネットワーク、VCF Operations、セキュリティ運用の担当境界も必要です。SLOを満たせない、障害時の切り戻し手順がない、モデル更新の停止時間が説明できない、監査ログを提出できない場合は、private cloudへ寄せる前に運用設計を直す段階です。

VCFでAI推論を受ける場合に見る技術面

VisualVCF PoCに入れる技術確認インフラだけでなく、運用、費用、通信経路まで同じ検証に入れます。
  1. 1実行形態を分ける

    VMで動かす推論と、Kubernetes/VKSで動かす推論を分けて確認します。

  2. 2利用率と容量を見る

    VCF Operationsで利用率や容量を見られるか、FinOpsで費用の見える化ができるかを確認します。

  3. 3データ経路を描く

    推論API、データベース、ベクトルDB、認証基盤、ログ基盤、外部APIの通信経路を説明できる状態にします。

  4. 4監査と運用へつなぐ

    ネットワーク、ログ、障害時の切り戻し、モデル更新の停止時間をPoCの最初から含めます。

VCF上で動くことと、本番運用として説明できることは分けて検証します。

VCFでAI推論を受ける場合、確認範囲はインフラだけでは終わりません。VMで動かすのか、Kubernetes/VKSで動かすのか。VCF Operationsで利用率や容量を見られるのか。推論API、データベース、ベクトルDB、認証基盤、ログ基盤、外部APIの通信経路を説明できるのか。このあたりをPoCの最初から入れておきます。

VMで動かす推論とVKSで動かす推論を分ける

条件

既存アプリと近い場所で小さく始める、OS依存がある、GPUを使わないCPU推論から試す、運用チームがVMに慣れている場合は、VMベースの評価が入り口になることがあります。VMテンプレートや初期構成の話は、直近の<a href="https://avgo-watch.blog.mo-gmo.com/avgo-36-vcf-cloud-init-guestinfo-vm-deploy-check/">VCFでcloud-init VMデプロイを始める前の記事</a>ともつながります。

確認項目

一方で、複数モデルを水平スケールさせる、namespaceごとに分離する、GitOpsで構成を管理する、CI/CDとつなげる、サービス単位でロールアウトする場合は、Kubernetes/VKS側の確認が必要です。BroadcomのKubeCon India 2026出展やVKSの文脈を追うなら、<a href="https://avgo-watch.blog.mo-gmo.com/avgo-35-kubecon-india-2026-vks-ai-kubernetes-check/">VKS、AI on Kubernetes、VCF 9.1の見どころ</a>も補助になります。

VCF OperationsとFinOpsをPoCに入れる

根拠

AI推論をprivate cloudへ寄せる理由にコスト予測を入れるなら、PoCで「費用が見えるか」を必ず確認します。Showback、利用率、容量予測、アラート、コスト配賦、AI/GPUの利用状況を見ないまま本番へ進むと、public cloudから移したあとに社内配賦や容量計画で詰まります。

評価基準

GPUがないPoCでも、CPU推論、ストレージ、ネットワーク、ログ、バックアップは費用を持ちます。VCF OperationsのDay 2運用や容量、コスト可視化は、<a href="https://avgo-watch.blog.mo-gmo.com/avgo-32-vcf-operations-onprem-day2-efficiency-check/">VCF Operationsでオンプレ本番運用を見直す記事</a>と合わせて読むと、production AIだけに閉じない運用観点を補えます。

ネットワークとデータ経路を後回しにしない

確認項目

AI推論はモデル単体で完結しません。推論APIの呼び出し元、業務データベース、ベクトルDB、ログ基盤、監視基盤、認証基盤、外部モデルAPI、バックアップ、DR先まで通信します。NSX/VDS、north-south、east-west、DNS、証明書、プロキシ、ファイアウォール、帯域、暗号化を後回しにすると、PoCで動いても本番に進めません。

関連する確認先

AI推論の配置判断でネットワークやXPUクラスター文脈も見る場合は、<a href="https://avgo-watch.blog.mo-gmo.com/avgo-31-ai-networking-tomahawk6-jericho4-q2-check/">BroadcomのAIネットワーキングをQ2決算後に確認する記事</a>も関連します。この記事ではVCF側の利用者影響を主に扱っていますが、データセンター内のネットワークがAI推論の遅延やスケールに効く点は同じです。

Public Cloudに残すもの、Private Cloudへ寄せるもの

Visual配置先を分ける判断軸private cloud、public cloud、hybridを勝敗ではなく条件差で比べます。
項目内容見方
Private Cloudへ寄せやすい推論機密データや社内データへ頻繁にアクセスし、需要が比較的読めて、既存VCFまたはオンプレ基盤にデータと認証があるケース。
Public Cloudを残しやすい推論需要が大きく変動し、マネージドAI APIや新モデルへの追随、リージョン展開、導入スピードを優先するケース。
Hybridで分ける設計エンドツーエンドの処理時間、API境界、暗号化、監査ログ、データ転送費、責任分界を同じ表に入れるケース。

セキュリティや費用は単純な勝敗にせず、データ、需要変動、運用責任、契約条件で判断します。

Private Cloud Outlook 2026はprivate cloudの存在感を示す資料ですが、読者の設計は混在になることが多いはずです。public cloudを残す判断も、条件が合っていれば合理的です。

Private Cloudへ寄せやすい推論

条件

private cloudへ寄せやすいのは、機密データや社内データへ頻繁にアクセスする、需要が比較的読める、既存VCFまたはオンプレ基盤にデータと認証がある、監査ログやデータ保持を社内基準で説明する必要がある、というケースです。

評価基準

この場合でも、PoCで比較すべきです。public cloud案とprivate cloud/VCF案を同じユースケース、同じデータ、同じSLO、同じ期間で比べます。モデル更新、ロールバック、権限変更、ログ提出、障害時の再起動、容量増設まで含めて証跡を残します。

Public Cloudを残しやすい推論

条件

public cloudを残しやすいのは、需要が大きく変動する、マネージドAI APIや新モデルへの追随が重要、リージョン展開が必要、自前運用よりスピードが優先、データ持ち出しや契約条件を満たせる、というケースです。

注意点

レポート上でpublic cloud利用が下がったからといって、public cloudを使う判断が弱くなるわけではありません。private cloudに寄せると固定費と運用責任が増えます。短期検証や変動需要では、public cloudのほうが総合的に読みやすい場合もあります。

Hybridで分ける設計

確認項目

実務では、データ前処理、検索、推論、ログ分析、モデル評価、バッチ処理を分けて配置する設計もあります。例えば、機密データと検索基盤をVCF側に置き、特定の外部モデルAPIだけをpublic cloudで呼ぶ構成もあれば、推論はprivate cloud、評価や開発はpublic cloudに残す構成もあります。

評価基準

hybrid構成では、片側だけの性能や費用で判断しないことが大切です。エンドツーエンドの処理時間、API境界、暗号化、監査ログ、失敗時のリトライ、データ転送費、責任分界、障害時の原因切り分けを同じ表に入れます。

PoC前チェックリスト

VisualPoCを配置判断の証跡にする流れ推論APIが動いたかではなく、本番へ進める条件を検証します。
  1. 1前提を決める

    対象ユースケース、対象データ、モデル、リクエスト量、ピーク時間、SLO、費用上限、監査要件、運用担当を決めます。

  2. 2比較条件をそろえる

    public cloud案、private cloud/VCF案、hybrid案を同じ条件で比較します。

  3. 3失敗パターンを避ける

    性能だけ、GPUだけ、費用だけ、構築手順だけに寄せず、責任範囲と本番運用を含めます。

  4. 4本番条件を確認する

    SLO、監査ログ、障害時の切り戻し、モデル更新、容量計画、費用の説明可能性を確認します。

PoCは成功体験ではなく、配置判断を説明するための証跡として設計します。

PoCの成功条件を「推論APIが動いた」にすると、本番前に困ります。Private Cloud Outlook 2026の数字をきっかけにするなら、PoCは配置判断の証跡を作る場所にします。

PoCに入る前に決めること

確認項目

まず、対象ユースケース、対象データ、モデル、リクエスト量、ピーク時間、SLO、費用上限、監査要件、運用担当を決めます。public cloud案、private cloud/VCF案、hybrid案を比較するなら、条件をそろえます。

証跡

証跡として残すものは、構成図、データ分類、権限表、ネットワーク経路、性能メトリクス、コスト見積もり、ログ、アラート、バックアップ、障害時手順、モデル更新手順です。これらがそろって初めて、private cloudへ寄せる理由を説明できます。

失敗しやすいパターン

注意点

失敗しやすいのは、GPUやCPUの単体性能だけで決めるケースです。推論は速いが、データ経路が複雑、ログが残らない、認証が弱い、監査が通らない、モデル更新が手作業、コスト配賦ができない、という状態では本番判断に使えません。

比較条件

もう一つは、public cloudの現行費用とprivate cloudの固定費を違う期間や違う稼働率で比べることです。public cloudの変動費を過大に見積もる一方で、private cloud側の運用人件費、余剰容量、保守、監視、バックアップを落とすと、比較になりません。

本番へ進める条件

評価基準

本番へ進める条件は、SLO、コスト、セキュリティ、運用、監査、障害対応のすべてに担当者と証跡があることです。private cloudへ寄せる理由が、流行や漠然としたコスト削減期待ではなく、データ保護、制御、既存資産、予測可能性で説明できる状態にします。

上振れと下振れ

既存VCF環境にOperations、FinOps、Kubernetes/VM運用、監査ログ基盤があり、推論需要が安定していて、データもVCF側に集まっているなら、private cloud評価は進めやすくなります。逆に、データが散らばり、需要が読めず、運用担当が決まらず、外部モデルAPIへの送信も多いなら、まずhybridまたはpublic cloud併用の設計から固めるほうが現実的です。

導入判断のまとめ

VisualVCFやprivate cloudへ寄せる前の最終確認Private Cloud Outlook 2026の数字を、導入判断の入口として使います。
数字を入口にする

56%、41%、37%、36%、31%という数字は、配置判断のきっかけとして扱います。

PoCへ含める

データ所在、セキュリティ、レイテンシ、コスト、運用、ネットワーク、監査を同じPoCに入れます。

VCFの確認点

VMかVKSか、VCF OperationsやFinOpsで費用と容量を見える化できるか、ネットワークと監査ログを確認します。

結論を急がない

public cloudを残す判断も、条件が合っていれば合理的です。

private cloud化は置き場所の変更ではなく、運用責任と説明責任の設計まで含めて判断します。

Private Cloud Outlook 2026は、AI推論をprivate cloudで考える理由が強まっていることを示す資料として有用です。56%のprivate cloud推論、public cloud利用の41%への低下、data protection/privacy 37%、security/control 36%、public cloud cost concern 31%という数字は、導入企業にとって配置判断の入口になります。

ただし、入口であって結論ではありません。AI推論をVCFやprivate cloudへ寄せるなら、データ所在、セキュリティ、レイテンシ、コスト、運用、ネットワーク、監査を同じPoCに入れる必要があります。public cloudを残す判断も、変動需要やマネージドAPI重視なら十分に合理的です。

Broadcomの発表を読むときは、「Broadcomがprivate cloudと言っているから移す」ではなく、「この調査とVCF 9.1の文脈を使って、自社の確認表を作る」と考えるのが実務的です。


次に読むなら

参照した主な情報源

  • Broadcom IR「Broadcom's Private Cloud Outlook 2026 Reveals an AI Tipping Point as Production Inference Shifts Decisively to Private Cloud」

https://investors.broadcom.com/news-releases/news-release-details/broadcoms-private-cloud-outlook-2026-reveals-ai-tipping-point 確認日:2026年6月10日 JST

  • VMware/Broadcom公式PDF「Private Cloud Outlook 2026」

https://www.vmware.com/docs/private-cloud-outlook-2026 確認日:2026年6月10日 JST

  • Broadcom News「Broadcom Announces VMware Cloud Foundation 9.1, Enabling Secure and Cost-Effective Infrastructure for Production AI」

https://news.broadcom.com/releases/broadcom-announces-vmware-cloud-foundation-9-1 確認日:2026年6月10日 JST

  • VMware Cloud Foundation Blog「VCF 9.1: The Secure, Cost-Effective Private Cloud Platform for Production AI」

https://blogs.vmware.com/cloud-foundation/2026/05/05/vcf-9-1-secure-cost-effective-private-cloud-platform-for-production-ai/ 確認日:2026年6月10日 JST

  • theCUBE「Modern Private Cloud: A Secure Foundation for Production AI」

https://www.thecube.net/events/broadcom/modern-private-cloud-a-secure-foundation-for-production-ai 確認日:2026年6月10日 JST