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VKS on VCF 9.1を設計前に確認する:3ゾーン、VPC/VDS、Antrea、LBの実務ポイント

VKS on VCF 9.1の3ゾーン、ネットワーク、CNI、ロードバランサ、ストレージ確認ポイントを表す抽象サムネイル

3行まとめ

このテーマをもう少し広げて見るなら、VCF 9.1 Private AI Servicesを導入前に確認する:NSX/VDS、Supervisor、VCF Automationの実務ポイントVCF 9.1でIaCを始める前に確認する:SDDC Manager API、Terraform、組織/プロジェクトの実務ポイント も合わせて確認してください。VKSのSupervisor、NSX/VDS、ロードバランサ設計をAIワークロード側のSupervisor構成とつなげて確認できるため。

Visual設計前に押さえる3つの確認軸VKS on VCF 9.1を検討するときに、最初に分けて確認する観点を整理します。
3ゾーン配置

vSphere Zone、ESXホスト、ストレージ、ネットワーク、障害境界を、クラスタ作成前に確認します。

ネットワークとLB

VDSとNSX-VPC、Antrea、Foundation Load Balancer、Avi Load Balancerを、運用境界で切り分けます。

PVCとDR

KubernetesのHAだけでなく、vSAN File Services、外部ストレージ、バックアップ、アプリケーション復旧を別の層として見ます。

クラスタのYAMLへ進む前に、配置、IP、ロードバランサ、ストレージ、復旧の未決事項を洗い出すと設計レビューが進めやすくなります。

VKS on VCF 9.1を設計する前に、まず3つのvSphere Zoneへ置けるか、Supervisorとworkload clusterの配置を混同していないかを確認したい。

ネットワークは、VDSとNSX-VPCのどちらを採るか、Antreaを既定CNIとして運用するか、Foundation Load BalancerとAvi Load Balancerをどこで切り分けるかが判断点になる。

PVC、RWX、DRはKubernetesのHAだけでは閉じない。vSAN File Services、外部ストレージ、Velero、アプリケーションやDB側の復旧設計を分けて見る必要がある。

VKS on VCF 9.1は「3ゾーンで置けるか」から確認する

Visual3-Zone Deployment Modelの確認点3つのvSphere Zoneを、名前だけでなく物理障害ドメインとして成立させられるかを確認します。
物理障害ドメイン

ゾーンごとのホスト、電源、ネットワーク、ストレージの分離を確認し、同じ障害に巻き込まれない構成にします。

ESXとvSAN/HA

各ゾーンでESXホスト数、vSAN、HAの前提を確認し、標準構成と既存環境の差分を把握します。

Management Domain

VCF管理面の配置、ストレッチクラスタ、障害時の管理経路を、Workload Domainとは分けて確認します。

Workload Domain

VKS workload clusterを置くドメインで、ゾーン分散、ネットワーク到達性、ストレージポリシーをそろえます。

3ゾーン構成は、3つのラベルを作る作業ではありません。ゾーンごとの障害境界と運用責任を先に見ます。

VMware Cloud Foundation Blogは2026年6月9日、VKS on VCFに関するWebinarと現場Q&Aをまとめた記事を公開した。新機能の単純な発表というより、設計前に聞かれやすい質問へ答える内容で、VKSをVCF 9.1の上で使う読者には実務的な需要シグナルになっている。

この記事で最初に見るべきなのは、Kubernetesクラスタを作るYAMLではなく、vSphere Zoneをどう置くかだ。公式ブログは、vSANとHAを支えるESXホストクラスタの標準的な最小要件として3ホストを挙げ、VCFにおけるAvailability Zoneは独立した物理障害ドメインを表す論理構成だと説明している。つまり、3ゾーン構成を検討するなら、単に「3つの名前を作る」のではなく、ゾーンごとのホスト、ストレージ、ネットワーク、障害境界を先に確認する。

3-Zone Deployment Modelが設計の出発点になる理由

公式ブログは、VCF 9.xでストレッチクラスタがManagement DomainとWorkload Domainの両方でサポートされるとしつつ、VCF 9.1ではKubernetes HAの現代的な標準として3-Zone Deployment Modelを強く推す、と説明している。ここは「ストレッチクラスタは使ってはいけない」という話ではない。設計レビューでは、既存の2サイト構成で本当に十分か、3つの障害ドメインを作れるか、ワークロードの復旧目標がどちらのモデルに合うかを分けて確認する。

確認項目

  • 各ゾーンに最低限必要なESXホストを置けるか。
  • vSAN、HA、DRS、共有ストレージ、ネットワークの前提がゾーン単位でそろうか。
  • 物理障害ドメインが、ラック、部屋、データセンター、電源、ToRスイッチのどこで分かれているか。
  • Management DomainとWorkload DomainのどちらにVKSを置くのか。
  • 1つのゾーン障害時に、control planeとworker nodeの復旧順を説明できるか。

3ゾーンを採る場合、読者が最初に作るべきものは完成構成図ではなく、未決の表でよい。ホスト数が足りない、ストレージが伸ばせない、ネットワーク担当がゾーンごとのVIP範囲を持っていない。そうした空欄が見えれば、まだクラスタ作成に進むタイミングではない。

ストレッチクラスタ前提で見落としやすいこと

既存の2サイト構成をそのまま使いたい組織ほど、3ゾーン推奨を「新規構築向けの理想論」として読み飛ばしやすい。だが、VKSの設計では、Kubernetes node poolをどの障害ドメインへ散らすか、ストレージとIPがどこまで伸びているか、障害時にどの層が自動復旧するかが効いてくる。

注意点

ストレッチクラスタは、インフラ層では便利でも、アプリケーションやDBが同じ前提で復旧するとは限らない。split-brain、低遅延要件、DNS切替、VIPの生存範囲、PVCの整合性を別々に確認する必要がある。3ゾーンを採らない場合でも、「なぜ採らないのか」を設計書に残す価値はある。

SupervisorとWorkload Clusterの配置を混同しない

VisualSupervisorとWorkload Clusterの役割分担同じESX上で動くVMでも、管理主体と設計者が決める項目は異なります。
項目内容見方
Supervisor control planeSupervisorを構成する管理面です。vSphereやVCFの管理下で扱い、配置と可用性は基盤設計として確認します。
Workload Cluster control planeVKS workload clusterのKubernetes制御面です。クラスタ単位のライフサイクル、バージョン、可用性を確認します。
worker node VMアプリケーションのPodを動かすVMです。node pool、VM class、ゾーン分散、スケール方針を設計対象にします。
node poolworker nodeの配置とサイズを扱う単位です。ゾーン分散、障害時の再配置、アプリケーション要件を合わせて見ます。

ESXは共通基盤ですが、Supervisorとworkload clusterは責務が違います。どの層の問題かを分けると切り分けが速くなります。

VKS on VCFの設計でありがちな混乱は、vSphere Supervisor、VKS workload cluster、Kubernetes control plane、worker nodeを同じ言葉の束として扱ってしまうことだ。公式ブログは、VKSではvSphere Supervisor control planeもworkload clusterのcontrol planeやworker nodeも、最終的にはESX上のVMとして動くと説明している。違うのは、管理主体、責務、配置の決め方である。

TechDocsでも、VKSはvSphere Supervisorと統合され、vCenter、ESX、仮想ネットワーク、クラウドネイティブストレージと連携する自己サービス型のKubernetes workload clusterライフサイクル管理として説明されている。これは、VKSを「外部Kubernetesサービス」としてではなく、VCFの基盤上に載る宣言的なクラスタ運用面として見る、という意味だ。

ESXは共通基盤、役割は別物として見る

vSphere Supervisor control plane VMは、Supervisorが有効化されたvSphereクラスタに配置され、vCenterとVCFの管理下に入る。workload clusterを作ると、そのKubernetes control plane nodeとworker nodeもESX上にプロビジョニングされる。DRSやHA、配置ルール、ゾーン分散の影響を受けるため、Kubernetes設計者だけで閉じる話ではない。

根拠

公式ブログのQ&Aは、worker nodeがESXホスト上にある場合、Supervisor control plane VMとworkload cluster control plane VMもどこにあるのか、という質問に答えている。答えは、どちらもESX基盤上にある。ただし、Supervisorはプラットフォーム側の制御面で、workload clusterはテナントやアプリケーション側のKubernetesクラスタである。

Node poolをゾーン分散の単位として見る

VCF 9.1では、node poolをvSphere Zoneへ分散できると公式ブログは説明している。これは、Kubernetesの可用性を「クラスタ全体」だけで考えるのではなく、node pool、VM class、storageClass、ゾーン容量を合わせて見る必要があるということだ。

確認項目

項目設計前に確認すること
control plane何台構成で、どのゾーンへ置くか
worker node poolアプリ種別ごとに分けるか、ゾーンへ散らすか
VM classCPU、メモリ、GPUなどの制約がゾーンごとに同じか
storageClass使えるストレージポリシーがゾーン間で一致するか
メンテナンス1ゾーン停止時に退避先容量が残るか

ここを曖昧にしたままGitOpsへ進むと、YAMLはきれいでも実際の配置が狙いどおりにならない。VKS上のArgo CDやApp of Appsを検討する段階では、先にこの配置単位を固めておきたい。GitOps側の詳細は、既存のVKSでArgo CD GitOpsを始める前に確認する記事へ回すと読みやすい。

IPブロックは「同じ親サブネットでも非重複」で管理する

Visual親サブネットから用途別に切り出す流れ同じ大きな親サブネットを使う場合でも、実際の割り当て範囲は重複させずに管理します。
  1. 1親サブネット

    最初に大きなIP範囲を台帳で管理し、誰が変更できるか、どこまで予約済みかを明確にします。

  2. 2Supervisor External IP Block

    Supervisorやクラスタ接続に使う範囲として切り出し、他の用途と重ならないようにします。

  3. 3Organization IP Space

    VCF Automationの組織向け範囲として管理し、テナントやセルフサービスの境界と合わせます。

  4. 4LB/VPC/将来拡張

    VIP、VPC用サブブロック、将来拡張用の余白を別枠で残し、NATやDNSの管理と合わせます。

重要なのは、同じ親サブネットを使えるかではなく、Supervisor、Automation、VPC、VIPの実割り当てを重複させないことです。

公式ブログのQ&Aで実務的に重要なのが、vSphere SupervisorのExternal IP Blockと、VCF AutomationのOrganization IP SpaceまたはExternal IP Blockの関係だ。回答では、必ずしも完全に別のルーティングネットワークである必要はなく、同じ大きな親サブネットから切り出すことはできる、と説明されている。一方で、実際に各利用者へ割り当てる範囲は重複させない、という線引きがある。

これは地味だが、VKS導入時の障害原因になりやすい。Supervisor、workload cluster、Service type LoadBalancer、Ingress、VCF Automation、VPC、NAT、DNSが同じIP計画の中に入ってくるからだ。

External IP BlockとOrg IP Spaceを分けて考える

同じ親サブネットを使えるという説明を、「誰でも同じ範囲を使ってよい」と読んではいけない。実務では、親サブネットを台帳で管理し、Supervisor用、Automation organization用、VPC用、LB用、将来拡張用へ切り分ける。

注意点

  • IPAMの管理主体が、vCenter、VCF Automation、NSX、外部IPAMのどれか。
  • Supervisor External IP BlockとVKS Service/Ingress用のVIP範囲が重ならないか。
  • Organization IP SpaceやVPCのNAT範囲が、既存の業務ネットワークと衝突しないか。
  • DNS登録、証明書、監視、ファイアウォール申請で同じVIPを二重に使っていないか。

VKS導入前に作るIP台帳

IP台帳は、設計書の付録ではなく、クラスタ作成前のゲートにしたい。VKSではネットワーク選択とロードバランサ選択がIP計画に直結するため、後から直すほど影響が大きい。

評価基準

領域台帳に入れる項目未決なら止める理由
SupervisorExternal IP Block、管理ネットワークcontrol planeやAPI接続が不安定になる
Workload clusterService、Ingress、frontend network開発者の接続経路が決まらない
VCF AutomationOrganization IP Space、外部IP範囲セルフサービス払い出しと衝突する
NSX-VPCsubnet、NAT、TGW接続テナント分離や経路制御が曖昧になる
LBFoundation LB、Avi、NSX LBのVIP証明書、DNS、監視の責任が分かれない

VPCやTransit Gatewayの範囲設計まで進む読者は、既存のVCF 9.1のVPC Network Span確認記事も合わせて見ると、クラスタ境界とネットワーク境界を分けて考えやすい。

VPC/VDSとAntreaは、対応可否より運用境界で決める

VisualVDSとNSX-VPCの運用境界ネットワーク方式ごとに、払い出し、分離、障害対応、可視性の違いを並べて確認します。
項目内容見方
VDSSupervisor control plane VM用のmanagement network、VKS cluster用のworkload network、frontend networkを分けて確認します。
NSX-VPCテナント分離、セルフサービス、ルーティング、NAT、サブネットを開発者向けに扱う前提で運用境界を決めます。
Antrea既定VKSの既定CNIとして扱い、NetworkPolicy、可視性、セキュリティ担当との分担を確認します。
BYO CNI既存標準やセキュリティ要件で別CNIを使う場合は、サポート範囲、障害調査、アップグレード手順を事前に確認します。

VDSとNSX-VPCは単純な優劣ではありません。誰が払い出し、誰が監視し、誰が障害対応するかで選び方が変わります。

VKSのネットワーク設計では、「VPCが使えるか」「VDSが使えるか」という対応可否だけでなく、誰が払い出し、誰が見て、誰が障害対応するかを先に決める。公式ブログは、VPCはパブリッククラウドに近い構成概念で、テナント分離、セルフサービス、ルーティング、NAT、サブネットを開発者向けに扱いやすくすると説明している。

一方で、VCF 9.1以降のVKSでは、設計対象としてVDS networkingとNSX-VPCが中心になる、という記述がある。過去バージョンや既存環境のNSX Classic構成を背景として理解することは大切だが、新規の設計レビューではVCF 9.1の前提に寄せて整理したい。

VDSとNSX-VPCの分岐

TechDocsの参照アーキテクチャでは、VDS topologyはSupervisor control plane VM用のmanagement network、VKS cluster用のworkload network、開発者が接続するfrontend networkを分けて説明している。NSX networkingの構成では、Tier-1 gateway、segment、load balancer server、VKS control plane向けvirtual server、Kubernetes service load balancer向けvirtual serverが登場する。

条件

選択肢向く判断先に確認すること
VDS既存VLAN設計を活かし、比較的シンプルに始めたい外部LB、frontend network、IP払い出し
NSX-VPCテナント分離、セルフサービス、NAT、VPC単位の境界を重視するVPC範囲、TGW、NAT、運用権限
既存NSX Classic既存環境の継続や移行中の制約がある対象VCFバージョンとサポート範囲

既存のVKSマルチネットワーク記事では、二つ目のNIC、NSX VPC、VDSの具体的な確認点を扱っている。この記事では、その手前の設計判断として、ネットワーク方式をどう選ぶかに絞る。

Antrea既定をどう扱うか

公式ブログは、VKS clustersの既定CNIとしてAntreaを挙げ、VCF 9.1ではAntrea-NSX Adapterを通じたNSX stackとの統合に触れている。CalicoやCiliumのような別CNIについては、CNCF-conformantであることやVKS 3.6以降のbring your own CNIに触れつつ、Antreaがもっとも自然に可視性へつながる、という読み方ができる。

注意点

別CNIを入れられることと、企業運用として選んでよいことは同じではない。サポート境界、NSXとの可視性、NetworkPolicyの調査、アップグレード時の責任、障害時の切り分けを確認する必要がある。既存Kubernetes運用と統一したい事情が強いなら、BYO CNIを評価する意味はある。ただし、VCF上の標準運用に寄せるなら、まずAntreaを軸に評価した方が話が早い。

ロードバランサはL4/L7と運用機能で切り分ける

Visualロードバランサ選定の確認表Service type LoadBalancerだけでなく、Ingress、証明書、DNS、WAF、監視ログまで含めて切り分けます。
項目内容見方
Foundation Load BalancerVDS networking向けのLayer 4ロードバランサとして、PoCや基本的な接続確認に向く範囲を確認します。
Avi Load BalancerLayer 7、WAF、DNS連携、Avi Kubernetes Operator、Ingress連携が必要なワークロードで検討します。
NSX Load Balancer既存NSX構成やネットワーク運用との関係を確認し、VCF 9.1の設計前提に合うかを見ます。
in-guest LBkube-vipやMetalLBなどを使う場合は、責任範囲、VIP払い出し、監視、障害時の所有者を明確にします。

L4だけで足りるか、L7やWAFまで必要か、運用ログをどこで見るかによって選択肢が変わります。

ロードバランサは、VKS導入前に最も誤解されやすい領域の一つだ。公式ブログは、Foundation Load BalancerをVDS networking向けの既定のLayer 4ロードバランサとして説明し、より単純な環境やPoC用途での利用に触れている。一方、Layer 7、WAF、DNS連携、Avi Kubernetes Operatorを含むIngress連携が必要な重いワークロードでは、Avi Load Balancerを推奨する流れになる。

Foundation Load Balancerをどこまで使うか

Foundation Load Balancerは、VDS構成でVKSを始めるときの入口として分かりやすい。Service type LoadBalancerの払い出し、開発者の接続確認、PoCでの基本検証には向く。ただし、これを「本番でも常に十分」と読んではいけない。

確認項目

  • L4だけで足りるアプリケーションか。
  • Ingress Controller、証明書、DNS、WAFをどこで扱うか。
  • VIPをどのIPブロックから払い出すか。
  • 監視ログと障害調査の起点がどこにあるか。
  • 将来Aviへ移る場合の名前解決、証明書、アプリ側影響を説明できるか。

Avi、NSX LB、in-guest LBの使い分け

公式ブログは、Avi Load BalancerをLayer 7、WAF、DNS統合、AKOによるIngress Controller連携が必要な場面で推奨している。NSX Load BalancerはVCF構成でLayer 4ロードバランサとして扱われる。kube-vipやMetalLBのようなin-guestの選択肢も使えるが、VCFファブリック側の集中分析、自動化、IPAMの利点を失う面がある。

評価基準

候補まず見る用途注意点
Foundation Load BalancerVDS構成のL4、簡易用途、PoCL7、WAF、DNS統合が必要なら不足する
Avi Load BalancerL7、Ingress、WAF、DNS、AKO設計と運用の責任範囲を広めに見る
NSX Load BalancerNSX構成内のL4アプリ要件がL7へ寄るなら再評価する
kube-vip、MetalLBゲスト側で完結したい特殊事情VCF側のIPAM、可視化、自動化から外れやすい

選定の順番は、好きな製品名から入らないことだ。アプリが必要とするレイヤー、証明書、DNS、Ingress、監視、障害対応者を先に書き、その後にLBを選ぶ。

PVCとDRはKubernetesだけで完結させない

Visualストレージと復旧を層で分けるPVC、RWX、バックアップ、DRをKubernetesの自動配置だけに閉じず、データの責務で分けます。
  1. 1RWO/RWX要件

    アプリケーションが本当にRWXを必要とするか、RWOや外部DB、オブジェクトストレージで足りるかを先に確認します。

  2. 2ストレージポリシー

    vSAN、vSAN File Services、外部NFS、Portworxなど、既存ストレージとサポート範囲を見ます。

  3. 3バックアップ

    Velero、Supervisorバックアップ、アプリケーション側バックアップを分け、復旧対象と保管先を決めます。

  4. 4DR設計

    ストレージ層、アプリケーション層、DB層の復旧順を確認し、3ゾーン構成だけに期待しない設計にします。

Kubernetesの可用性、PVの永続化、アプリケーションデータの復旧は別の話です。復旧テストの単位も分けて考えます。

3ゾーン構成にすると、読者はつい「Kubernetesがうまく分散してくれる」と考えがちだ。だが、ストレージとDRは別の層である。公式ブログは、statelessまたはnon-persistentなストレージは標準的なvSANやブロックストレージポリシーで扱われ、VCF 9.1ではvSphere Namespaceレベルでstorage quotaを扱うと説明している。

さらに、ReadWriteManyをネイティブに使うにはvSAN File Servicesが必要とされる。一方、vSANを使わない環境ではPortworxのようなCNCF-conformantなサードパーティストレージオーバーレイをVKS clusters内に入れる選択肢も説明されている。ここは「どれが正解か」ではなく、既存ストレージ、RWX要件、サポート、運用負荷を見て分岐させるところだ。

RWXとストレージポリシーを先に確認する

アプリケーションが本当にRWXを必要としているのか、RWOで足りるのか、オブジェクトストレージや外部DBへ逃がせるのかを先に決める。Kubernetesマニフェストの前に、データのライフサイクルを確認する。

条件

  • vSAN File Servicesを使えるなら、ネイティブRWXの候補に入る。
  • 既存ブロックストレージ中心なら、RWO前提の設計を確認する。
  • 外部NFSやPortworxを使うなら、誰が運用し、誰が障害を切り分けるかを決める。
  • Namespace quota、storage policy、reclaim policyをアプリチームと共有する。

3ゾーンDRはアプリケーション層の設計も見る

公式ブログは、標準的なblock PVC、つまりReadWriteOnceのPVCを3ゾーン間で同期レプリケーションする前提にしないよう示唆している。3ゾーンでの高可用性は、主にアプリケーションやDB側のレプリケーション、場合によってはvSAN Data Persistence Platformのような仕組みと合わせて考える。

注意点

Veleroはworkload cluster内のKubernetes workloadバックアップで使われるが、Supervisorそのもののバックアップとは分けて考える、という説明も公式ブログにある。Supervisorはインフラ側、workload clusterはアプリケーション側という境界を崩すと、復旧手順が曖昧になる。

PVCを削除したときのreclaim policy、CSIによるVMDKやvolumeの削除、復旧時にどの名前で戻すかも事前に確認したい。障害はきれいな単体故障ではなく、IP、DNS、LB、PVC、DBが同時に絡むことがある。

宣言的クラスタ管理へ進む前に変数を棚卸しする

VisualCluster API変数の棚卸しクラスタ作成を一回限りの作業ではなく、宣言的な設計変数として扱うための確認項目です。
cluster topology

クラスタ全体の形、ゾーン、バージョン、アップグレード方針を、設計書の変数として整理します。

node pools

worker nodeの数、VM class、ゾーン分散、スケール方針を、アプリケーション要件と合わせます。

storage policies

namespace、PVC、quota、RWO/RWXの前提を変数として扱える粒度に分けます。

networking settings

VDS、NSX-VPC、IPブロック、VIP、Antrea、Ingressの前提をクラスタ作成前にそろえます。

GitOpsやNamespace Blueprintへ進む前に、変数へ入れる内容と、運用チームが管理する境界をそろえておきます。

Broadcom Developer PortalのVKS APIドキュメントは、VKSがVCF Private Cloud内でKubernetes clustersを宣言的に作成、設定、管理するAPIであると説明している。Cluster APIを使い、cluster topology、node pools、VM classes、storage policies、networking settingsを定義し、provisioning、scaling、upgrading、cluster health managementを自動化する、という位置づけだ。

これは、設計レビューにおいて非常に大切なポイントになる。VKSでは、クラスタ作成を手作業の一回限りの作業としてではなく、変数と宣言的な構成として扱える。だからこそ、変数へ何を入れるかを、ネットワーク、ストレージ、運用担当と一緒に決めておく必要がある。

Cluster API変数は設計書の材料になる

Cluster Configuration Variablesのドキュメントは多い。本文で全項目を列挙する必要はない。設計前に棚卸しするなら、まずカテゴリで見る。

確認項目

変数カテゴリ設計レビューで見ること
topologyどのクラスタ形にするか
node pool役割、数、ゾーン分散、スケール単位
VM classCPU、メモリ、GPU、ゾーンごとの在庫
storageClassRWO/RWX、ポリシー、quota
networksVDS、NSX-VPC、VIP、pod/service範囲
labels/taintsワークロードの配置制約
upgrade strategy手動、計画停止、検証クラスタの扱い

GitOpsやNamespace Blueprintへ進む前の境界

VKSを宣言的に扱えると、すぐGitOpsやセルフサービス化へ進みたくなる。だが、Argo CD、Namespace Blueprint、App Stack Formationは、設計の次の段階だ。VKSクラスタのゾーン、ネットワーク、ストレージ、LBが決まっていない状態でアプリ配信を自動化すると、後戻りが大きくなる。

VCF AutomationのNamespace BlueprintやAPI-first運用に広げる場合は、既存のVCF Automation 9.1 Namespace Blueprint確認記事や、VCF 9.1 API-first自動化の記事を後段で読むとよい。この記事の役割は、その前にVKSの土台を固めることにある。

設計レビュー用チェックリスト

Visual最初に確認する10項目推奨構成を決め打ちする表ではなく、未決事項を見つけるための設計レビュー表です。
項目内容見方
3ゾーンとホスト3つの物理障害ドメイン、ゾーンごとのESX、vSAN、HA前提を確認します。
Supervisorとnode poolSupervisor control plane VM、worker nodeのゾーン分散、VM class、管理境界を確認します。
IPレンジとネットワーク方式External IP、Org IP Space、VIPの非重複、VDSかNSX-VPCか、Antreaの扱いを確認します。
LB、PVC、DR、APIロードバランサ、RWO/RWX、バックアップ、Cluster API変数、GitOpsへ進む条件を確認します。

未決なら、インフラ、ネットワーク、IPAM、Kubernetes運用、アプリ、セキュリティの誰に確認するかまで書き出します。

VKS on VCF 9.1の設計レビューでは、次の10項目を最初に確認したい。これは推奨構成の押し付けではなく、未決事項を見つけるための表である。

最初に確認する10項目

領域確認すること未決なら誰に聞くか
3ゾーン3つの物理障害ドメインを作れるかインフラ設計、データセンター運用
ホスト数ゾーンごとのESX、vSAN、HA前提vSphere、サーバー担当
Supervisorcontrol plane VMの配置と管理境界VCF管理者
node poolworker nodeのゾーン分散とVM classKubernetes基盤担当
IPレンジExternal IP、Org IP Space、VIPの非重複ネットワーク、IPAM担当
ネットワーク方式VDSかNSX-VPCかネットワーク、VCF Automation担当
CNIAntrea標準か、BYO CNIかKubernetes運用、セキュリティ担当
LBFoundation LB、Avi、NSX LB、in-guestの分岐アプリ、ネットワーク、セキュリティ担当
PVCRWO/RWX、storageClass、quotaストレージ、DB担当
DRVelero、Supervisor backup、DB復旧順運用、DR、アプリ担当

進めてよいケース

3ゾーンまたは採用しない理由が説明でき、VKSの配置、IP、ネットワーク、CNI、LB、PVC、DRの未決事項が担当者つきで整理されているなら、PoCやクラスタ作成へ進みやすい。VCF 9.1を触って確認したい場合は、VCF 9.1 Hands-on LabsをPoC前に使う記事が次の入口になる。

先に止めるケース

IPレンジが重複している、Foundation Load BalancerとAviの役割が決まっていない、RWX要件だけが先に出ていてストレージ方式が未定、3ゾーンとストレッチクラスタのどちらを採るかを誰も説明できない。こうした状態なら、クラスタ作成より設計レビューを先に戻した方がよい。


次に読むなら

参照した主な情報源

  • VMware Cloud Foundation Blog, "Architecting VMware vSphere Kubernetes Service on VCF: Top Webinar and Field Questions Answered", 2026年6月9日公開、2026年6月11日確認

https://blogs.vmware.com/cloud-foundation/2026/06/09/architecting-vmware-vsphere-kubernetes-service-on-vcf-top-webinar-and-field-questions-answered/

  • Broadcom TechDocs, "VKS Components", 2026年6月11日確認

https://techdocs.broadcom.com/us/en/vmware-cis/vcf/vcf-service-administration-and-development/9-0/managing-vsphere-kubernetes-service/running-tkg-service-clusters/tkg-service-components.html

  • Broadcom TechDocs, "Reference Architectures for VKS Clusters", 2026年6月11日確認

https://techdocs.broadcom.com/us/en/vmware-cis/vcf/vcf-service-administration-and-development/9-0/managing-vsphere-kubernetes-service/running-tkg-service-clusters/reference-architectures-for-tkg-service-clusters.html

  • Broadcom Developer Portal, "VMware vSphere Kubernetes Service", 2026年6月11日確認

https://developer.broadcom.com/xapis/vmware-vsphere-kubernetes-service/latest

  • Broadcom Developer Portal, "Cluster Configuration Variables", 2026年6月11日確認

https://developer.broadcom.com/xapis/vmware-vsphere-kubernetes-service/latest/variable-docs.html